異業種から転職、2年で海外戦略を任される。

avex海外戦略3カ年計画、
その立案と実行

德田 卓哉

経営学修士修了、2014年入社(“志”一括採用初年度合格者)
エイベックス・グループ・ホールディングス株式会社 国際マーケティング課
前職の広告会社の後、2年間のビジネススクールを経て、エイベックスへ。360度ビジネス全部を内包する唯一のエンタテインメント企業であり、中長期的なキャリアパスが明確だったことが選社の理由。

入社後、すぐに新サービス立ち上げ。
半年後、海外戦略立案。

エイベックスに入社するまで、音楽やエンタテインメントの仕事をしたことはありません。入社時に持っていたのは、前職での広告会社でのプランニング経験。エイベックスに入る前にビジネススクールに通ってMBAを取ったけれど、それを使って仕事をしたこともありませんでした。
でも、入社後すぐに、音楽/映像サブスクリプションサービスの立ち上げに参加。半年後には、グループ全体の海外事業の方向性/戦略の立案を手掛けることになりました。うれしかったですね。「グローバル×戦略」で会社を探し、発展途上の海外ビジネスの収益向上に貢献したいと選んだエイベックスだったから。「エイベックスは経験がなくてもチャンスをくれる」って言うけど、あれ、本当です。

全グループ会社を回り、
経営陣や現場の想いを聞く。

教科書なんてありません。どう進めるかから考える必要がありました。で、まずは、グループ各社の経営陣と、アーティストのマネジメントや作品づくりをする現場に、ヒアリングすることにしました。ほとんど全部の現場を回りましたね。メールや電話ではなく、会って話を聞きました。みんな、最初は「誰?」って感じです(笑)。でも、直接言葉を交わすことで気持ちが伝わると、みんな熱心に僕の話に耳を傾けてくれます。こういうとき、エイベックスに組織とか年次の壁はありません。
ヒアリングして感じたのは、「手段が目的化している」ということでした。例えば、ある国のあるイベントに出ることばかりが先行して、その後、その国でどんなことを実現していくか、戦略が明確じゃなかった。けれど、現場もトップも海外進出にすごく熱い想いを持っています。そこに、ビジネススクールで学んだフレームワークやスキームを当てはめたらどうなるか、という観点で戦略を練っていきました。

「一回やらせてみてください」に、
「やらせてみよう」と応える会社。

上記のようなプロセスを通して、考えてきたものを海外戦略3カ年計画としてまとめ、発表しました。
すべての人が賛成だったわけではありません。「エンタテインメントは、数字やロジックで割り切れるものじゃない」という反論は、たくさん受けました。そういう意見、僕自身すごく理解できたから、ロジックを積み上げて反論するより、「一回やらせてみてください」と頼みました。さらに、「戦略を立てるだけでなく、アーティストが海外進出するプロジェクトに関わり、戦略を実行してみたい」とも。それに対して、上の判断は「まずは、やらせてみよう」。やらないことより、やってみることを選ぶ。任せるとなったらとことん任せる。そういうの、すごくエイベックスらしい。
戦略実行にあたり、まず、本人やマネージャーに海外に行きたいかを確認、意欲の高いアーティストを厳選しました。同時に、シンガポール、台湾、アメリカ、フランスなど進出を考えている国や地域の特性をもとに、どのアーティストならどの国・地域がはまるか、そして、ライヴ、イベント、ドラマや映画のキャスティング、グッズ販売、配信など、どんな活動をすべきかを考えていきました。

ライヴに毎回顔を出し、
考え、感じ、想いを伝える。

すんなり進んだわけではありません。
例えば、戦略をもとに僕が「タイにいってほしい」と言っても、「私たちの音楽は、絶対にフランスでウケる。タイじゃなくフランスに行きたい!」と言われてしまったり。当然ですよね。アーティストは商品じゃない。意志も夢もある。そこを考えてなかったんです。このままでは信頼されません。信頼されなければ、海外進出なんて上手くいくはずない。
どうしようかと思って、アーティストのライヴに毎回顔を出すことにしました。楽曲やセットリスト、ステージの世界観、そして、アーティストの毎回違う表情やパフォーマンスから、自分の考えについて検証を繰り返しました。アタマで分析するだけじゃなく、一リスナーとして感じたことなども交えて。そして、それをライヴに行くたびに自分の言葉でアーティストに伝えることで、僕が、そのアーティストを本気で知ろうとしていることを理解してもらいました。
そのうえで、「まず、この国で人気を獲得してから、もっと市場の大きいここで勝負しよう」みたいに、夢を実現する道筋として進出先を説明しました。すると想いが通じて、みんな前向きにとらえてくれるようになりました。

1年の1/3は海外。
現場で感じた文化の壁。

広告やメディアへの出演交渉、コンサート制作などにも携わりました。アジアなど支社を介するものもあれば、アメリカやフランスなど僕が直接交渉したところもあります。おかげで、昨年は1年の1/3は海外にいました。
海外とやり取りするようになると、文化や考え方の壁を感じました。例えば、時間を守ることについて、海外は日本ほど厳しくない。ライヴ会場の設営が2〜3時間押すなんてざらです。ある国のイベントでは、ステージの設営すらできていなかった。完成を待っていたら睡眠時間も取れないことが分かったので、設営中のステージの端で、マイクもアンプも通さず、リハしたこともありました。
対策ですか?もう、スケジュールをすごく余裕をもって立てるしかない。それでもアクシデントが起こるので、アーティストに「何が起こっても驚かないように」とか「たとえ、どんな状況でも全力でパフォーマンスできるように」と準備と覚悟をしてもらった。で、一緒にその場その場で対処していった感じです。気が付くと、僕も現地のスタッフと一緒に、音回りの確認までするようになっていました。

海外進出について、みんなが
同じ方向を向いて動き出した。

ようやく最近、実績が出始めたところです。
どのアーティストも、海外進出1回目より2回目の方が動員数は増えています。SNSのフォロワー数が1.5倍に跳ね上がったアーティストも、SNSのトレンドランキングで1位になったアイドルもいます。
実績が出始めることで、「うちのアーティストも」という声が多く聞こえるようになりました。アーティスト側も、ただの憧れとかではなく、どこにどうやって進出し、そこで何を目指していくか、より深く考えるようになったみたいです。みんなが同じ方向を向いて動き出している。そして、その共通のベースに、3カ年計画があることがうれしいですね。
でも、まだまだです。
単に成功するだけでなく、そのプロダクションならではの戦略で、海外進出を果たした会社もたくさんあります。「エイベックスらしい海外展開」を、これから、もっともっと考えていかなきゃならないと思っています。それを考えたいし、その戦略を最前線で実行していきたいですね。